週刊WEBマガジン岐阜人(ぎふびと)

岐阜人(ぎふびと)は、岐阜県のチャレンジし続ける中小企業経営者を紹介する週刊WEBマガジンです。

【Vol.15】五本指下駄『Getals(ゲタル)』で健康生活を応援!~嵯峨乃や(恵那市)大森将人さん~

第15回となる『岐阜人(ぎふびと)』は東濃地域の東部、恵那市より。今回紹介するのは、五本指下駄『Getals(ゲタル)』を開発・製造販売されている「嵯峨乃や」の大森将人(おおもりまさと)さんです。

大森将人氏

大森さんは先月(2017年7月)8日、恵那市武並町にある古民家を改修してショップ兼工房を開設されたました。今回は、ショップ開設のタイミングを見計らって、オープン直後の7月12日(金)にお伺いしました。

ゲタル直営店

こちらが五本指下駄のゲタル。五本の指を解放させるため、鼻緒が4つついているのが特徴です。

五本指下駄「ゲタル」

ゲタルを履くと5本の指を広げることによって、血行が良くなり冷え性の予防になることに加え、姿勢が良くなって内転筋が鍛えられ「履くだけダイエット」効果が期待できる、さらには外反母趾でお悩みの方は「歩くのが楽になった」との喜びの声をいただいている、とのこと。

ゲタルを履いてみた

ショップの入り口には、色とりどりの鼻緒が施されたゲタルが展示されています。

ゲタル工房入口

奥には、大森さんが日々ゲタルを製作する作業スペースが設けられています。

手前には鼻緒に加えて”木曽ねずこ”製の台が、ところ狭しと積み上げられていました。

ゲタル工房内

こちらが、色とりどりの鼻緒。鼻緒の柄やサイズを選ぶことで、男性から女性まで幅広いユーザーに対応しています。

鼻緒色々

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せっかくの機会ですので、ゲタルの製作風景をみせていただきました。

まずは、鼻緒の先端をヒモで結んで整えます。

ゲタル制作風景1

お次は、台に空けられた穴をキリでしっかり貫通させ・・・

ゲタル制作風景2

台の裏から4本の鼻緒をしっかりと結びつけます。

ゲタル制作風景3

同様に後ろ穴のヒモもギュッと結び付け、はみ出したヒモを切り取ってようやく完成です!

ゲタル制作風景4

製作時間は、正味20分程度。鼻緒の数が多い分、ワンセット製作するのに結構な時間がかかります。

ゲタル完成

といった感じで、一つ一つ丁寧に手づくりされている「ゲタル」。

直営店の営業時間は、今のところ午前10時~17時(水曜日定休)とのこと。「一度現物を見てみたい」という方は、ゲタル直営店まで足を運んでみてはいかがでしょう?

www.kimono-saganoya.com

【Vol.14】印刷を通じて「お客様の思い」をカタチにしたい~株式会社タカダ印刷(羽島郡岐南町)高田華子さん~

第14回となる『岐阜人(ぎふびと)』は、羽島郡岐南町で印刷業を営む株式会社タカダ印刷の代表取締役、高田華子(たかだはなこ)さんです。(株)タカダ印刷は、高田さんのおじいさんが昭和10年(1935年)に創業。戦中から戦後、さらには昭和から平成と、80年を超える歴史を紡いできました。

高田さんが自社に入社する前に携わっていた仕事は、なんとテレビ番組の制作!名古屋の制作会社に在籍し、番組制作のための企画会議や取材など忙しい日々を過ごしていたそうです。

タカダ印刷 高田華子氏

その後高田さんは、岐阜に戻りタカダ印刷に入社されますが、しばらくしてお父さんが体調を崩して入院。高田さんは家業を継ぐ決心をします。

毎日新しいアイディアを求められるテレビ界と、技術の蓄み重ねによる職人の世界である印刷業は、まったく違う世界です。高田さんは当時のことを、「何も知らない状態で印刷業に入り、はじめは”子どものお遣い”くらいのことしかできなかった。」、「代表になって2~3年は無我夢中で、何をやっていたのかまったく思い出せない。」と振り返ります。

入院から一年後にお父さんは他界され、高田さんが同社の代表取締役に就任。様々な苦労はありますが、「お客様の思いをカタチにする”印刷”の世界の奥深さに惹かれ、日々楽しんでお仕事をされている」そうです。

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(株)タカダ印刷の代表的な製品ジャンルといえば、美術作家さんたちの作品集。「印刷は文化」という創業者の理念は今でも受け継がれ、常に技術や提案力をアップデートすることで、依頼する作家さんたちの期待に応え続けています。

美術、作品集など

最近力を入れているのが、こうしたポストカード。東京の大手文具店などで取り扱いが進んでいます。

箔押し印刷ポストカード

©︎ 7 days cards designed by Yayoi Fujiwara

これらポストカードには、「箔押し機」による箔押し技術が活用されています。ゴールドやシルバーなどの光沢が、ワンポイント施されています。

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©︎ 7 days cards designed by Yayoi Fujiwara

工場も見学させていただきました。一番奥にあったは、4色のオフセット印刷機。

「オフセット印刷」は、現在の印刷業界では主流となっている印刷方式で、大量の印刷物を、速く・美しく仕上げるのに最適な方法です。

オフセット印刷機

工場の手前には、6年前に導入したというドイツのハイデルベルク社製の箔押し機がありました。見ての通りアナログ感いっぱいというかアナログ機械そのもので、印刷箇所に一枚一枚ペタペタと箔が貼られていきます。

箔押し印刷機

その後、印刷ズレがないかルーペでチェック。こうした工程をおろそかにしないことが、お客様の信頼につながっているのですね。

箔押しチェック

「箔押し機」を保有していない時代は、外注で箔押しを対応していたそうですが、設備導入後は箔押し技術・ノウハウを自社で蓄積できるようになったうえ、実際にお客様に確認いただきながらこまかな調整することも可能となったとのこと。

さらに3年前には、「活版印刷機」も導入!「活版印刷」はご存知の通り、グーテンベルクが発明した印刷技術の原点です。

ちなみにこちらの機械もドイツのハイデルベルク社製とのこと。

活版印刷機

工場の外には、「活版」が設置されていました。このように、大量・スピード印刷に優れるオフセット印刷から、箔押し印刷、さらには活版印刷まで自社工場内で対応できることが、同社の強みとなっています。

活版

と同時に、「活版印刷」の時代から受け継がれる「印刷を通じた文化の発信」の精神を、今なお大切に持ち続けていることが、同社がお客様に信頼され続けている秘訣であると、今回改めて感じました。

本業と並行して高田さんが力を入れていることとして、『NPO法人ひまわりノート』の活動があります。 

ひまわりノート

出典:「NPO法人ひまわりノート」公式サイト

『NPO法人ひまわりノート』は、高田さんを含む印刷関連業者が立ち上げた団体で、同団体が製造したノートの価格の一部が「子どもの教育支援」のため寄付されます。

ノートを買って下さった方の寄付金は、NPO法人ひまわりノートが責任を持って各種団体へお届けさせて頂きます。

(中略)

現在は、東日本大震災で被災し、震災孤児となった子どもたちの教育支援の為に『あしなが育英会』へ寄付しています。
その他にも、WFP国連世界食糧計画の『学校給食プログラム』への給食費としての寄付を同時に行っています。

出典:「NPO法人ひまわりノート」公式サイト

こちらの活動は、もちろん社会貢献という意味合いもありますが、日ごろ「受け身」になりがちな印刷業者が自ら商品を開発・販売することで、自分たちの技術や提案力を高めていこう、という狙いもあるそうです。

デジタル化の進行で印刷業を取り巻く環境は、今後も厳しくなることが予想されます。そんな中でも、「紙であってよかったね」と言われるものだけ、淘汰されずに残っていくと、高田さんは信じています。「紙だからこそ」、「印刷だからこそ」できる素敵な製品を、これからもお客様とともに産み出していただけることでしょう!

【Vol.13】「鶏(ケイ)ちゃん」を日本の代表的食文化に!~有限会社萩原チキンセンター(下呂市) 日下部讓さん~

第11回の飛騨フォレスト 今井康徳さんにつづき、今回も下呂市萩原町から『岐阜人(ぎふびと)』のご紹介。

今回紹介するのは、岐阜県を代表する郷土料理「鶏ちゃん」の製造販売を行う、有限会社萩原チキンセンター 代表取締役の日下部讓(くさかべじょう)さんです。

同社は、「鶏ちゃん(ケイちゃん)」を製造販売する、県内の代表的なメーカーです。一般的には「萩原チキンセンター」という社名よりも、「萩屋ケイちゃん」でおなじみのことと思います。

萩原チキンセンター 日下部譲さん

ご存知の通り「鶏ちゃん(ケイちゃん)」は、飛騨地方から郡上など奥美濃地方で昔から食べられてきた郷土料理です。日下部さんは愛知県弥富市のご出身とのことで、「鶏ちゃん」を初めて食したのは、結婚を前に日下部家に来てからのことだそうです。

鶏ちゃん

「なんて美味しい食べものなんだ!」と感動した日下部さんは、「鶏ちゃんの魅力をもっと多くの方に知っていただこう!!」と販路開拓に燃えますが、周りの反応はイマイチ。地元に人にとっては、きわめて日常的な食べ物であったため、「あえて自慢するようなものではない」といった認識だったようです。

さらに日下部さんは、愛知県碧南市のとある食品スーパーでショッキングな光景を目にします。主婦の方が、売り場にある「鶏ちゃん」の袋を手に取ってしげしげと裏表を眺めながらも、結局買わずに売り場に戻してしまったのです。

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「このパッケージでは、鶏ちゃんはどのように調理すればよいのか、域外の人にはわからない」、そのことに気づいた日下部さんは、「鶏ちゃん」を食べたことがない方にもわかりやすいよう、パッケージの改善に努めます。

まず初めに着手したのが「鶏ちゃん」の定義。

地元の人にとっては、当たり前すぎて定義すらされていなかった「鶏ちゃん」について、

・鶏肉を使い

・一口サイズにカットして

・みそや醤油などを調合したタレに漬け込んだもの

と定義します。

鶏ちゃんパッケージ変遷

写真提供:萩原チキンセンター

 続いて調理方法について、はじめは裏面に、その後表面にわかりやすく表示することで、誰でも簡単に「フライパンで焼くだけ!」ということがわかるようになりました。

「鶏ちゃん」をより多くの方に食べていただくために不可欠なのが、一つは市場の拡大、そしてもう一つは安定的な製造体制の確立です。

宣伝・PR活動は、自社だけでの取り組みでは限界があります。

そこで日下部さんは、平成19年に設立された『飛騨美濃鶏ちゃん協同組合』代表理事として活動するとともに、5年前に建国された『鶏ちゃん合衆国』の副大統領兼商務長官としても活動し、「鶏ちゃん」ファンの拡大に努めています。

ちなみに下の画像は、昨年8月24日に飛騨市古川町で開催された『鶏ちゃん大交流会in飛騨古川』の様子です。

鶏ちゃん合衆国イベント

市場が拡大しても、「食の安全」を確立したうえで安定供給ができなければ意味がありません。そこで日下部さんは、自動でカットや充填を行う機械設備を導入して生産性向上を図るとともに・・・

鶏ちゃん製造風景1

金属探知機を導入することで、破片等が混入した商品が出荷されるのを、未然に防ぐ手立てを施しています。

鶏ちゃん製造風景2

さらに5年前には、食品安全マネジメントシステム『ISO22000』を取得。安全衛生を確保し続けるためのマネジメント体制を確立します。

ISO22000

今の時代、いかに「良い商品」をつくっても「安心」「安全」を保証できなければ、販路開拓は実現できません。同社においても、『 ISO22000』取得したことによってバイヤーからの信頼性が増し、商談がまとまりやすくなったようです。

『 ISO22000』取得には、コストも手間もかかります。それでもあえて取得した理由を尋ねると、「単に自社の売上拡大というだけでなく、県内の代表的メーカーとして鶏ちゃんの裾野を広げる責務」を意識しての取り組みであるとのことでした。

 最後に今後の夢について質問したところ、「鶏ちゃんを日本の代表的な食文化の一つに押し上げたい」と語られました。「和食」が世界文化遺産に指定されて以降、海外での日本食ブームやインバウンドでの日本食人気が高まっています。幸いなことに鶏肉は、宗教・宗派を問わず食べていただける食材です。

今後、「鶏ちゃん」が”岐阜県の郷土料理”の枠を超え、世界中で食される日が来ることを楽しみにしたいと思います!

↓有限会社萩原チキンセンターの公式サイトはこちら!

www.k-chan.co.jp

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