週刊WEBマガジン岐阜人(ぎふびと)

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【Vol.14】印刷を通じて「お客様の思い」をカタチにしたい~株式会社タカダ印刷(羽島郡岐南町)高田華子さん~

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第14回となる『岐阜人(ぎふびと)』は、羽島郡岐南町で印刷業を営む株式会社タカダ印刷の代表取締役、高田華子(たかだはなこ)さんです。(株)タカダ印刷は、高田さんのおじいさんが昭和10年(1935年)に創業。戦中から戦後、さらには昭和から平成と、80年を超える歴史を紡いできました。

高田さんが自社に入社する前に携わっていた仕事は、なんとテレビ番組の制作!名古屋の制作会社に在籍し、番組制作のための企画会議や取材など忙しい日々を過ごしていたそうです。

タカダ印刷 高田華子氏

その後高田さんは、岐阜に戻りタカダ印刷に入社されますが、しばらくしてお父さんが体調を崩して入院。高田さんは家業を継ぐ決心をします。

毎日新しいアイディアを求められるテレビ界と、技術の蓄み重ねによる職人の世界である印刷業は、まったく違う世界です。高田さんは当時のことを、「何も知らない状態で印刷業に入り、はじめは”子どものお遣い”くらいのことしかできなかった。」、「代表になって2~3年は無我夢中で、何をやっていたのかまったく思い出せない。」と振り返ります。

入院から一年後にお父さんは他界され、高田さんが同社の代表取締役に就任。様々な苦労はありますが、「お客様の思いをカタチにする”印刷”の世界の奥深さに惹かれ、日々楽しんでお仕事をされている」そうです。

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(株)タカダ印刷の代表的な製品ジャンルといえば、美術作家さんたちの作品集。「印刷は文化」という創業者の理念は今でも受け継がれ、常に技術や提案力をアップデートすることで、依頼する作家さんたちの期待に応え続けています。

美術、作品集など

最近力を入れているのが、こうしたポストカード。東京の大手文具店などで取り扱いが進んでいます。

箔押し印刷ポストカード

©︎ 7 days cards designed by Yayoi Fujiwara

これらポストカードには、「箔押し機」による箔押し技術が活用されています。ゴールドやシルバーなどの光沢が、ワンポイント施されています。

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©︎ 7 days cards designed by Yayoi Fujiwara

工場も見学させていただきました。一番奥にあったは、4色のオフセット印刷機。

「オフセット印刷」は、現在の印刷業界では主流となっている印刷方式で、大量の印刷物を、速く・美しく仕上げるのに最適な方法です。

オフセット印刷機

工場の手前には、6年前に導入したというドイツのハイデルベルク社製の箔押し機がありました。見ての通りアナログ感いっぱいというかアナログ機械そのもので、印刷箇所に一枚一枚ペタペタと箔が貼られていきます。

箔押し印刷機

その後、印刷ズレがないかルーペでチェック。こうした工程をおろそかにしないことが、お客様の信頼につながっているのですね。

箔押しチェック

「箔押し機」を保有していない時代は、外注で箔押しを対応していたそうですが、設備導入後は箔押し技術・ノウハウを自社で蓄積できるようになったうえ、実際にお客様に確認いただきながらこまかな調整することも可能となったとのこと。

さらに3年前には、「活版印刷機」も導入!「活版印刷」はご存知の通り、グーテンベルクが発明した印刷技術の原点です。

ちなみにこちらの機械もドイツのハイデルベルク社製とのこと。

活版印刷機

工場の外には、「活版」が設置されていました。このように、大量・スピード印刷に優れるオフセット印刷から、箔押し印刷、さらには活版印刷まで自社工場内で対応できることが、同社の強みとなっています。

活版

と同時に、「活版印刷」の時代から受け継がれる「印刷を通じた文化の発信」の精神を、今なお大切に持ち続けていることが、同社がお客様に信頼され続けている秘訣であると、今回改めて感じました。

本業と並行して高田さんが力を入れていることとして、『NPO法人ひまわりノート』の活動があります。 

ひまわりノート

出典:「NPO法人ひまわりノート」公式サイト

『NPO法人ひまわりノート』は、高田さんを含む印刷関連業者が立ち上げた団体で、同団体が製造したノートの価格の一部が「子どもの教育支援」のため寄付されます。

ノートを買って下さった方の寄付金は、NPO法人ひまわりノートが責任を持って各種団体へお届けさせて頂きます。

(中略)

現在は、東日本大震災で被災し、震災孤児となった子どもたちの教育支援の為に『あしなが育英会』へ寄付しています。
その他にも、WFP国連世界食糧計画の『学校給食プログラム』への給食費としての寄付を同時に行っています。

出典:「NPO法人ひまわりノート」公式サイト

こちらの活動は、もちろん社会貢献という意味合いもありますが、日ごろ「受け身」になりがちな印刷業者が自ら商品を開発・販売することで、自分たちの技術や提案力を高めていこう、という狙いもあるそうです。

デジタル化の進行で印刷業を取り巻く環境は、今後も厳しくなることが予想されます。そんな中でも、「紙であってよかったね」と言われるものだけ、淘汰されずに残っていくと、高田さんは信じています。「紙だからこそ」、「印刷だからこそ」できる素敵な製品を、これからもお客様とともに産み出していただけることでしょう!

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